東京・大阪、21日にまん延防止 緊急事態大半解除、政府が検討
政府は10日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて10都道府県に発令している緊急事態宣言を期限の20日で解除し、東京や大阪など大半の地域を「まん延防止等重点措置」へ移行する検討に入った。期間は21日から東京オリンピック開幕(7月23日)までの1カ月程度を想定し、飲食店への営業時間短縮要請などの対策を続ける。来週後半に判断する方針だ。
菅義偉首相は10日、宣言対象地域への対応について「新規感染者は減少傾向にある。まずは徹底して感染拡大を防ぐのが大事だ。そのうえで感染者数や病床の状況について、専門家と相談して判断したい」と語った。
10都道府県のうち、東京や大阪など4都府県は4月25日、愛知と福岡は5月12日、北海道、岡山、広島は16日、沖縄県は23日に宣言が発令された。いずれの地域も当初は、新規感染者数が、最も深刻な「ステージ4(感染爆発)」相当だったが、北海道と沖縄を除く8都府県は9日時点で「ステージ3(感染急増)」相当やそれ以下に改善した。
「ステージ3」は宣言解除の目安とされ、官邸関係者は「東京をはじめとする地域は宣言を解除し、まん延防止措置にするのがいい」と指摘した。北海道や沖縄は来週の感染状況を見極めるが、政府関係者は「宣言は『全国的なまん延の恐れ』を意味する。沖縄や北海道だけ残るのはありえない」と語った。
感染者が急減した地域について、まん延防止措置を経ずに「全面解除」にする案もある。20日にまん延防止措置の適用期限を迎える神奈川など5県のうち、感染指標が低水準になった埼玉などの解除論も出ている。
もともと政府は東京五輪の観客数を巡る判断に悪影響を与えないよう、期限の20日での宣言解除を目指していた。まん延防止措置を適用しない意見もあった。だが、大阪や兵庫は2月末に2回目の宣言を解除後、急速な感染再拡大(リバウンド)を招いた。五輪開幕を控える中、リバウンドは避ける必要があり、解除後にまん延防止措置へ移行する案が有力な選択肢に浮上した。
焦点となるのは、長引く宣言やまん延防止措置による「自粛疲れ」にどう対処するかだ。宣言下では、酒類を提供する飲食店などに休業を要請している。飲食店は時短緩和や酒類提供停止の撤回を求めており、政府は21日からの措置として、午後8時までの時短の緩和や酒類提供が可能かを慎重に探る方針だ。