政府、脱炭素へ長期ビジョン 経済と環境の好循環など6項目提示

産経新聞

 

経済産業省は18日、気候変動対策に関する審議会を開催し、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」案を示した。2050年の脱炭素実現に向け、積極的に温暖化対策を行うことで経済社会に変革をもたらし、大きな成長につなげるという長期ビジョンを提示。重視する方向性とした「経済と環境の好循環の実現」など6項目を掲げ、地球温暖化防止の国際枠組みであるパリ協定が掲げる、産業革命前からの気温上昇幅を1・5度に抑えるとの目標達成に意欲を示した。

 

6つの項目のうち、「経済と環境の好循環の実現」では、「規制改革・標準化、金融市場を通じた需要の創出と民間投資の拡大を通じた価格(コスト)低減に政策の重点を置く」と明言。また、「労働力の公正な移行」の項目では、脱炭素に向けビジネスモデルが大きく変化する中で、「国や地方公共団体、企業などが一体で、職業訓練や業態転換・多角化支援などを推進していく」ことを明記した。

 

委員からは「国民に対し、脱炭素の実現後の社会がどう豊かで、幸せかのビジョンをもっと示してほしい」といった声や、「温暖化対策でコストは増加する可能性がある。国民への覚悟をもっと示す必要があるのでは」といった意見が寄せられた。また、「長期的ビジョンなので、原子力発電に関し、新増設やリプレース(建て替え)を記載してほしい」といった声もあった。

 

政府はすでに、素案などが示されている次期エネルギー基本計画や、脱炭素に向けた具体策「グリーン成長戦略」などの議論も踏まえ、長期戦略を国内外に分かりやすく発信していく方針。今回の意見を受け、パブリックコメントの手続きの準備に入り、政府内での議論も踏まえ、閣議決定を目指す。