東京オリンピック 国内観客の入場制限判断 6月に先送りへ

毎日新聞

新型コロナウイルスの感染拡大で今夏に延期された東京オリンピックの国内観客の入場制限について、大会組織委員会は6月に結論を先送りする検討に入った。20日、関係者への取材で明らかになった。今月末に開く予定の組織委、東京都、政府、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)との5者協議で提案する。

 

3月に受け入れ断念を決めた海外観客に続いて、国内観客の上限数も4月中に判断するとしていたが、感染力が強いとされる変異株による感染再拡大で月内に結論を出すのは難しいと判断した。

 

大阪府は20日に3度目の緊急事態宣言発令の要請を正式決定し、東京都も宣言発令を視野に準備する。昨年12月、政府が都、組織委とまとめた東京大会における感染対策の「中間整理」では国内の上限基準に準じるとの基本方針を示していた。5月の連休以降まで緊急事態宣言が長引けば、宣言下での決定は難しく、最終判断を6月とした。「まん延防止等重点措置」が適用される都などでは、プロ野球など大規模イベントの観客数は5000人に制限される。現在の開催状況を踏まえて判断するのは得策ではないとの計算もあった。

 

組織委関係者によると、観客数を大幅に制限する場合、チケット保有者の再抽選による絞り込みの作業が必要で、先延ばしできるのは7月23日の開幕の1カ月前が限界という。

 

五輪の観客を巡り、IOCのトーマス・バッハ会長は3月のIOC総会で「5、6月の進展も考慮するため扉は開いておく必要がある」として可能な限り判断時期を遅らせる考えを示していたが、組織委は運営準備の影響を懸念して4月に判断するとの姿勢を強調していた。