東京五輪、海外客受け入れ見送りで調整 コロナ拡大懸念に配慮

毎日新聞

今夏の東京オリンピック・パラリンピックについて、政府は海外からの観客の受け入れを見送る方向で調整に入った。国際オリンピック委員会(IOC)などと協議して月内に最終判断する。3日、複数の関係者が明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する世論に配慮した。国内の観客の受け入れは規模を含め引き続き検討する。

 

政府は昨年12月に東京都、大会組織委員会とまとめた感染症対策の「中間整理」で、観客数の上限や海外からの観客の取り扱いについて、感染状況を踏まえて今春までに判断するとしていた。海外では英国などでワクチンの接種が進む一方、変異株の流行が欧州などで拡大している。こうした状況を踏まえ、大会実現を第一に、水際措置を強化することにした。政府関係者は「今の状況では、外国からの観客を入れるのは無理だ」と語った。

 

海外からの観客は100万人規模と想定され、インバウンド(訪日外国人)効果を期待する声は政界や経済界に根強かった。菅義偉首相も五輪を新型コロナで冷え込んだ経済の起爆剤とする構えだったが、長男正剛氏らによる総務省幹部の接待問題で求心力を弱めている。

 

一方のIOCは来年2月開幕の北京冬季五輪や、2024年パリ五輪を控えている。大会関係者は「IOCも東京で失敗すると北京、パリに影響すると考えている」と話しており、政府の意向は尊重するとみられる。

 

海外からの観客を巡っては、IOCのトーマス・バッハ会長が2月24日の記者会見で「4月か5月初めに決断しなければならない」と語り、大会組織委員会の橋本聖子会長が聖火リレーの始まる今月25日前後に方向性を示す見解を述べていた。

 

3日夜に、大会に向けたトップ級の5者協議がオンラインで開かれ、橋本氏、東京都の小池百合子知事、丸川珠代五輪担当相の3人が、バッハ氏、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長と、観客の受け入れについて協議する。