GDP年11.7%増に下げ 10~12月改定値

日本経済新聞

内閣府が9日発表した2020年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質で前期比2.8%増、年率11.7%増だった。2月に公表した速報値(前期比3.0%増、年率12.7%増)から下方修正した。在庫の調整が速報段階の推計値より進んだ結果、GDPを押し下げた。企業の設備投資の下振れも響いた。

 

改定値では財務省が2日に発表した10~12月期の法人企業統計の結果を設備投資や民間在庫変動に反映した。民間在庫では原材料や仕掛かり品の在庫について推計し直したところ、速報値より取り崩し幅が膨らんだ。特に原油や天然ガス、自動車などの在庫が減ったという。結果的に民間在庫のGDPの押し下げ効果は速報段階の0.4%分から0.6%分に拡大したが、需要増による前向きな在庫調整が進んでいる可能性もある。

 

設備投資は前期比4.3%増で、速報値の4.5%増から0.2ポイントの下方改定となった。財務省の法人企業統計では、GDP算出の基礎となる金融・保険業を除く全産業の設備投資額(ソフトウエア以外)は前年同期から6.1%減っていた。個人消費は2.2%増で、速報段階から変わらなかった。

 

20年の成長率はマイナス4.8%で速報段階から変わらず、リーマン・ショックの影響で5.7%減った09年以来のマイナスとなった。四半期ベースでみるとプラス成長は20年に7~9月期、10~12月期と2期続き、年前半のコロナ感染の影響からの回復が年末まで続いていた。21年1~3月期は緊急事態宣言の再発令などで旅行や外食を中心に消費が落ち込んでおり、西村康稔経済財政・再生相は9日朝の記者会見で「マイナス(成長)は覚悟しないといけない」と話した。